コラム

個人事業主のメリットとは?税金はどうすればいい?

  • 業界情報

個人事業主になる人は、開業や運営においてそれほど大変でもないことから、
最近多くなってきています。サラリーマンとの違いやメリットについて解説していきます。

個人事業主とは?フリーランスとの違いについて

個人事業主とは、株式会社や合同会社を設立するような法人化をせず、個人として他の会社などと契約をして事業を行い、必ず所得税を支払います。

それと比較するとフリーランスは個人として独立した立場で、特定の企業に属さずに活動しています。収入面が多いか少ないかもあり、必ず所得税を支払うというものではありません。

 

 

サラリーマンと個人事業主はかかる税金が違う

サラリーマンは、自分の勤務する会社からの給与という形で収入を得ていて、税金は源泉徴収されています。

 

個人事業主はお客さまや契約先からの支払いを得るので報酬という形を取っていて自分で確定申告をして支払います。

 

それぞれのかかる税金などを比較していきましょう。

 

サラリーマンと個人事業主の違い

個人事業主はサラリーマンと比較して次の点で違います。

①経費計上ができる

サラリーマンは給与に必要経費を計上することはできませんが、個人事業主は、売上金額のために必要となった必要経費は認められます。

つまり、事業所得は、収入金額から必要経費を引いた後の金額となります。

 

給与所得控除は国税庁のホームページから参照できます。

https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/1410.htm

 

必要経費に似た特定支出控除という仕組みはありますが、給与所得控除の額の2分の1を超えなければ適用されず、使用されていないのが実情です。

 

経費関係は、事業のために支出する①「必要経費」、プライベートな支出である②「事業主貸」、事業用とプライベートとが混在している③「家事関連費」の3つに分類されます。

 

収入金額から控除される必要経費は、これらのうち①必要経費と③家事関連費に事業供用割合を乗じたものの合計金額です。

 

②給与という概念がない

サラリーマンがもらうのは給料、必要経費の計算は自分で行わずに、収入金額に応じて給与所得控除の額が収入金額から引かれて総所得金額となっています。

 

個人事業主が所得税の計算を行う際には、まず「収入金額-必要経費=総所得金額」の計算の後、「総所得金額-所得控除=課税所得」を算出し、その課税所得額から所得税の額を算出します。

 

③社会保険料の計算方法が違う

サラリーマンには、給与支給に際して、厚生年金保険料や健康保険料、雇用保険料といった様々な控除があります。

 

これら3つは、社会保険料と呼ばれています。(およそ給与の15%前後)

 

強制的にはいるものにサラリーマンは厚生年金(個人と会社でほぼ半額ずつ負担)、

個人事業主は、国民年金があります。

 

その国民年金は毎年見直されていますが、個人事業主は一律毎月およそ17,000円、年間ではおよそ20万円となっています。

厚生年金保険料の個人負担分は、収入金額×9.15%ですから、厚生年金保険料の個人負担よりやや低い設定と考えられます。

 

また、個人事業主は、国民健康保険に加入しますが、これは自治体により保険料率が異なるだけでなく、被保険者の人数によって保険料が変化します。しかしながら、サラリーマンより負担は多くなる場合が多々あるでしょう。

 

④額面からの手取り額が違う

サラリーマンと個人事業主では、手取り収入が同じでも税金の制度が大きく異なります。もし同じ金額を稼いだ場合、サラリーマンと個人事業主ではどのくらいの差があるのでしょう。

 

サラリーマンの給与収入、個人事業主の事業所得がそれぞれ同額の500万円の場合で比較してみます。

 

・サラリーマンの給与収入500万円の場合

収入金額500万円-社会保険料72万円-所得税・住民税37.7万円=390.3万円

 

・個人事業主の事業所得500万円の場合

所得金額500万円-社会保険料65万円-所得税・住民税57.3万円=377.7万円

 

このように書くと個人事業主の方が手取りが少なく、税負担が多く見えますが、個人事業主は事業にかかる費用や維持費を必要経費にすることができ、社会保険料や税金の額が減少し、節税できるのです。

 

つまり、最終的に社会保険料や税金の額は減少するので節税できます。青色申告を行えば、損失が発生しても翌年以降3年間に発生する利益と相殺することができるのです。

 

個人事業主と法人の違い

個人事業主と法人の違いについて

次は個人事業主と法人の違いについて解説していきます。

 

法人と個人事業主との違い

①開業する際の手続きについて

個人事業主は、手続きが簡単です。開業届けを出せばなることができるのです。(厳密には事業所得があれば確定申告するので、届け出がなくても個人事業主となる)個人事業主になると、「確定申告」が必要ですが、申告も確定申告ソフトなどを用いる事で自分で行うことができます。

 

法人は定款作成や登記が必要になり、およそ6〜25万円の費用が必要です。

確定申告の際も法人決算書や申告関係が複雑なため、税理士が必要なことが多いです。

 

②税金面が違う

法人と個人事業主を比較した場合、法人は経費に認められる範囲が広く(経営者への給与や保険料等)、逆に赤字でも法人税の均等割7万円がありますが、それに比較すると個人事業主は経費として認められる範囲が狭くなります。

 

個人事業主の売上にかかるのが「所得税」、法人の売上にかかるのが「法人税」であり、「所得税」は、課税所得金額が増えると累進課税制度により税率が高くなります。

「法人税」は、これに対し、800万円を超えると税率が上がります。

 

しかし、個人事業主の所得税には、青色申告控除65万円と、基礎控除38万円が所得から差し引かれ、控除後の所得額に税率をかけた税額から税額控除が差し引かれます。

 

所得額が330万円超~800万円までの場合を比較すると、それぞれの税率は、

個人事業主が20%か23%、法人が19%と、個人事業主の方が税率が高く設定されていますが、個人事業主は、「(所得額-青色申告控除65万円-基礎控除38万円)×税率20%か23% =税額-控除額427,500円」の計算から、結果的に個人事業主の方が税額が低くなるのです。

 

個人事業主の税率は330万円、900万円を目安に上がってくるとされていることから、給与控除、住民税、消費税の納税義務が発生する法人化への移行を考慮する場合には、税理士などに相談してみましょう。

一定の所得までは、個人事業主の方が税金は得、と考えられます。

 

法人化した場合、法人住民税は、赤字でも支払わなくてはならず、従業員がいる場合は社会保険の加入が必須になり、人件費の負担(給与、保険料など)が大きくなります。さらに、経理や事務手続きなどの業務が増えます。

 

③社会的な信用力が変わってくる

法人は、設立と登記のハードルが高く複雑であり、事業規模(所得)が大きくないと法人化ができません。ですから、法人は個人事業主よりも事業の安定性が必要になるために、法人を維持できていれば社会的信用が高まります。

それは、法人の規模、業績(決算内容)からくる信用と考えられます。

 

法人は、取引先の開拓や、事業拡大のために金融機関から融資を得る際などは金融機関からの融資が受けやすくなったり、法人でないと取引ができない企業もあります。

 

個人事業主_デメリット

個人事業主のデメリットについて

ここまで、個人事業主のメリットを多く解説してきましたが、デメリットについてもご紹介させていただきます。

 

個人事業主は、所得税が所得金額の増加に伴い税率が高くなります。(最高45%)

一律10%である住民税は、一律10%なので合算すると最高55%もの税金の負担が発生します。(法人は、法人税や住民税・事業税の税率は所得金額により大着な変動はなく、実効税率はおよそ34%)

 

ですから、事業を拡大し所得金額が大きくなった場合には、法人化するとよいでしょう。

 

また、法人は赤字になった際には、赤字部分最大10年間繰り越せるのに対して、個人事業主は最大3年間とされています。

また、より信用度があるのは法人ですから、取引の幅は法人の方が広がるでしょう。

 

法人も個人事業主でも廃業する場合は廃業届けを提出しましょう

個人事業主は、個人事業の廃業届を納税地の税務署に提出します。

法人は、解散(清算結了)の場合は、法務局で登記後に、履歴事項全部証明書(閉鎖事項全部証明書)(写しでも可)を添えて異動届を提出します。

 

個人事業主、法人ともに従業員の個人住民税を特別徴収(給与天引き)していた場合は、「給与所得者異動届出書」を提出するようになります。

 

提出先は、納税地の所轄税務署、県税事務所、市役所になり、これらの届をきちんとしていない場合、将来的にもう一度個人事業主になろうとした場合に青色申告ができなかったり、法人化の時に不都合が生ずる可能性があります。

 

 

まとめ

現在はサラリーマンであっても、事業としてある程度の収入が見込まれる場合、個人事業主になることは難しいことではありません。サラリーマンが独立を考える場合は、まず個人事業主から始めるとリスクが低くなるでしょう。